ある朝、叔母といっしょに舗装された道路を歩いていると、道路と垂直に交わる大きな通りにぶつかりました。叔母は、そこを渡るから気をつけるようにと注意すると、足早に道路の向こう側に向かって歩き出しました。道路を隔てた向こう側の建物の屋根の合間から灰色っぽい教会の尖塔が見えました。
 道の真ん中で立ち止まって教会の屋根に見とれていると、叔母は、その近くに向かっているということを教えてくれました。残念ながら叔母は教会へではなく、そばにあった別の建物に向かって歩いていたのです。
 
 保育所か幼稚園だったのでしょうか。建物の間の小道を抜けると急に視界が開け、校庭のようなだだっ広い場所で、私の妹と同じ年齢位の子どもたちが、砂埃を立てながら追いかけっこをして遊んでいるのが見えました。その中に、白い半そでのブラウスを着て紺色のスカートを履き、頭に包帯を巻いた短髪の女の子が一人いました。その女の子は、2,3人の友達と一緒に小走りで私の方へ近づいてくると、愛想よく話しかけてきました。他の子どもたちはその女の子より口数が少なかったのですが、私は少しの間その子どもたちと話をすることができました。
 
 トイレに行きたくなったので、そこにいた女性と話をしていた叔母に場所を訊いて、建物の中の教室のように大きな部屋の奥の方にある洗面所に行きました。そこで壁面のタイル ― もしかするとアート作品だったのかもしれません。- を見つめていると、外で話しかけていた包帯の女の子が勢いよく洗面所に入ってきました。外の空気とはうってかわって思いのほかひんやりと涼しいその洗面所の中で、人懐こいこ犬のように私に付きまとっていたその女の子は、叔母に呼ばれると、他の子どもたちがいる天井の高い大きな部屋に戻っていきました。
 私は、叔母が用意してくれたそばの椅子に座って、テーブルか机のような物を囲んで大人の話を聞いている子どもたちを見ていました。

 母の実家がある町から父方の祖母の住む町に引っ越してからしばらくの間、友達がひとりしかいなかった私は、長姉に連れられて、二番目の姉と時には小さな妹もいっしょに市内にある教会の日曜学校に通っていたのですが、叔母が連れて行ってくれたあの部屋の中にも、日曜学校の醸し出す雰囲気とそっくりの空気が流れていて、室内もやはり、入り口のほうから差し込む穏やかな日差しに包まれていました。
 頭に包帯を巻いた女の子も、静かに座って大人の話に耳を傾けていました。

<次回に続きます。>

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